大隅の巨樹・巨木風景(巨木巡り) 表紙TOPへ
鹿児島県大隅半島には日本一の蒲生のオオクスに勝るとも劣らない志布志の大クスをはじめ、塚崎の大クス、田崎の大クス、小田の大クスなどクスノキを中心に巨樹・巨木が存在する。また、大隅半島の巨樹・巨木は照葉樹のタブ、スダジイ、イス等、自然木の巨樹・巨木が多いのが特徴である。西日本最大級の照葉樹林帯を抱える大隅半島にはこれまでに公表されていない巨樹・巨木が多数眠っており、まさに巨樹・巨木の宝庫だといえる。
大隅半島の代表的な巨樹・巨木
志布志の大クス 塚崎の大クス 旗山神社の大クス
塚崎の大クス 田崎の大クス 小田の大クス
塩入橋のオオクス 中央公園のイヌマキ 「たかくまふれあいの森」のスダジイ
八山岳のイヌマキとイスノキ 金弦の森の巨樹・巨木 稲尾山系の巨樹・巨木
鹿児島県の代表的な巨樹・巨木
蒲生の日本一のオオクス  奥十曽の日本一のエドヒガン桜  屋久杉

志布志の大クス  志布志市
志布志市山宮神社の境内にある大クスは、推定樹齢約1300年、根廻り3225メートル、樹高23.6メートルもあり昭和16年に国の天然記念物に指定されている。山宮神社境内にはクスのほかに樹齢300年の広葉杉などの大木が茂っており雄大な景観を呈している。
塚崎の大クス 肝付町高山
塚崎のクスは塚崎古墳群一号墳(円墳)の上に生えている国の天然記念物となっている。蒲生の大クス、志布志山宮神社の大クスに次ぐ巨木で、樹齢推定1200年から1300年以上といわれ、高さ25メートル、目通り幹廻り約14メートル。塚崎大塚神社の神木とされ、地域の崇敬受けている。現在も樹勢が盛んで樹上にはオオタニワタリをはじめ多くの植物が着床している。塚崎の大クス【国指定天然記念物 昭和15年2月10日】
田崎の大クス 鹿屋市田崎町
七狩長田貫(ななかりおさたぬき)神社、通称「田崎神社」。この境内に市の天然記念物、樹齢約900年を超すクスノキがある。根回り10、8m、樹高25mで根本から2本に別れている。ここのクスは、樹齢1500年の日本一の蒲生のクスにははるかに及ばないが大隅半島内では樹齢1300年前後の志布志山宮神社のクスや塚崎のクスに次いで古樹・巨樹である。
旗山神社の大クス 錦江町
旗山神社の大楠は、幹廻り16m、樹高30m、樹齢は800年以上で樹上には十種類位の植物が寄生し、共生している。大楠の主幹は、かなり空洞化が進み、樹上部は枝が少なく、脇枝が主幹となっている。宮司さんの話によると推定樹齢は1000年以上、終戦直後、空洞内に住み着いた塩売り人が火災を起こし、洞の内部が焼け、樹勢が衰えたという。火災という災難を乗り越えて新しい命を誕生させた楠の木の生命の偉大さに感服。町天然記念物
旗山神社境内には幹周り5m前後の大イチョウ3本があり、神社の神木となっている。黄葉の時期になると境内一帯が黄色の世界に染まり、美しい景観をかもしだす。
小田の大クス 肝付町内之浦
「小田のクス」は1999年の樹木診断によると次のようになっている。(根本周15,8m、高さ25,0m、樹齢およそ400年)。県下の巨樹、古木中においても秀逸したものとみることができる。小田の楠は川岸にあるため昔からたびたび洪水にみまわれてきた。1938年(昭和13年)の大水害以前にもかなりの被害を受けたと推定され、根本及び樹幹が埋没している可能性が指摘されている。1938年水害では3mぐらい埋ったとの話がある。埋没する以前の姿を見る事ができるものなら、その巨大さはさらに圧倒的なものになることでしょう。・・・一部、現地史跡案内看板より引用 
三国名勝図会という薩摩の歴史書には、その楠は一度は枯れ、その宿根から芽生えて大樹になったとある。
塩入橋の大クス(南蛮船係留の大クス) 南大隅町
南蛮船係留の大クスは、雄川の河口から上流百約500m、塩入橋の北岸に立つ。このクスは、幹廻り9.8m、樹高17mの大楠で、地元では塩入橋の「千年大クス」とか「南蛮船係留の大クス」とも呼ばれる。この大クスは、南大隅町根占の歴史を長く見守ってきた老木で、南蛮貿易の遺跡として、町の指定文化財(天然記念物)となっている(昭和43年12月10日指定)。
今から500年前の雄川の河口は、現在よりも深い天然の良港であった。当時、根占町は建仁3年(1203年)から400年にわたって(のち島津氏の直轄地)、禰寝(ねしめ)氏が所領し、唐や南蛮、琉球との交易で栄えていた。大きな舟が入港する度に、異国船はこの大楠にとも綱を結び、荷を上げ下ろししたと伝えられている。そこからこの大クスは「南蛮船係留の大クス」ともよばれるようになった。

「たかくまふれあいの森」のスダジイ 鹿屋市下高隈
「たかくまふれあいの森」は鹿屋市下高隅町にあり、林道がポイント地点まで舗装され、駐車場が整備されている。たかくまふれあいの森は、大隅森林管理署が、「森林保護・教材用」「水源かん養保安林」として管理している。低地ながら、南日本特有の照葉樹林をつくるアカガシ、シイノキ、タブノキ、イスノキなどの天然広葉樹が原生に近い形で残っており、学術的にも貴重な場所である。森の中のスダジイ(イタジイ)の巨木は、推定樹齢250年、樹高22m、幹周り609cmもあり、林野庁の「森の巨人たち100選」に選ばれている。
中央公園のイヌマキ 鹿屋市
鹿屋中央公園駐車場近くの熊野神社境内には推定樹齢300年、周囲9m、樹高20mの大イヌマキがある。この種としては県下でも類をみない巨木であり、植物学上貴重なものである。昭和43年5月27日に市の天然記念物に指定されている。
八山岳のイヌマキとイスノキ 
八山岳登山道のイヌマキ巨木(幹周り4m40cm、樹高16.3m)

八山岳登山道脇のイスノキの巨木
金弦の森の巨木 肝付町
肝付町二股林道から金弦橋にかけての尾根づたいに照葉樹の巨木が残存する。照葉樹林帯の中には幹廻り5メートルのタブやスダジイ、オガタマ、イスノキなどの照葉樹巨木が発見された。大隅の宝である照葉樹の保護と再生、活用を目指して地元NPOや関係者により、調査や研究が進められている。

タブノキの巨木

イスノキの苔むした巨木
稲尾岳山系の巨樹・巨木
稲尾岳山頂一帯にはモミの巨木が点在。かつてはモミの純林が圧倒的な景観を誇っていたという。標高800m一帯ではアカガシ、ヒメシャラ、ヤマグルマ。400mから700m層ではイスノキ。300m一帯ではイタジイが大半でマテバシイ、タブなどが混在し、稲尾岳照葉樹の垂直分布を見ることができる。

モミの巨木

ヒメシャラの巨木

鹿児島県内の代表的な巨樹 蒲生のオオクス
鹿児島県内の代表的な巨木といえば日本一の大グスといわれる蒲生のクスだ。1988年(昭和63年)に実施された環境庁(現環境省)の巨樹・巨木調査によって、日本一の巨樹であることが証明された。樹高30.0m、目通り幹廻り24.22m(地上から1.3m)、根回り33.57m、幹の基部には約13.3平方メートル(約八畳敷)の空洞があり、樹齢は約1500年と推定される。八幡神社は、蒲生院の領主であった蒲生家初代の蒲生舜清(かもうしゅんせい)が、1123年(保安4年)に豊前国宇佐八幡宮をこの地に勧請して建立したものであるが、その当時すでに「蒲生のクス」は神木として祀られており、相当の巨樹であったと考えられる。八幡神社境内には「くす」のほか「カヤ」「オガタマ」「イチョウ」「モミ」「ムクロジ」などの巨木が見られる。

鹿児島県内の代表的な巨樹 奥十曽の日本一のエドヒガン桜
鹿児島県伊佐市大口の国有林にあるこのエドヒガン桜は、昭和52年8月に発見され、樹齢約600年、根回り21m、胸高周囲10.8m、樹高28mでエドヒガン桜の自生木としては、日本一のエドヒガン桜とされる。現地案内板には、「この江戸彼岸は、従来日本一とされていた、山梨県の神代桜を凌ぐ巨木で、南限地帯にあたり、学術的に貴重なため、昭和61年4月、周囲5.6ヘクタールが学術参考保護林に指定された。・・・」とある。国の「巨樹・巨木百選」、「森の巨人たち百選」にも選ばれている。エドヒガンザクラはバラ科、落葉の高木で高さ15mぐらいとなり、日本(本州から九州)と韓国の済州島、台湾に分布し、鹿児島県では栗野岳と奥十曽に産し、栗野岳のものは南限地として天然記念物に指定されている。

エドヒガン桜開花風景

根回り21mの奥十曽のエドヒガン
学術的にも貴重な奥十曽のエドヒガンは国の「森の巨人たち百選」にも選ばれている。
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