鹿児島方言単語編   

鹿児島の方言単語

「鹿児島の方言由来偏」で取り上げたものの重複をさけて、現在も使われ通用する方言を簡単な標準語訳をつけて紹介します。 くわしいデータ内容については新刊「かごしま弁入門講座」をごらんください。「入門講座」書の単語集には約1000語を収録し、意味以外に語源や関連することわざも盛り込んでいます。

方言

標準語訳  

方言

標準語訳

アイガテ ありがたい アイガトサゲモシタ ありがとうございました
アイタヨ ああいたい アニョ おにいさん
アバテンネ たくさん アンベ からだのぐあい
イカナコテ まさか イケンスイケ どうするか
イッスン ぜったいに イテ いたい
イタッキモンデ 行ってきます イッカスイ 教える
イッダマシ たましい イッノコメ いつのまにか
イッペコッペ あっちこっち イロヒッガワリ 顔色が悪い
ウケ 多い ウゼラシ うるさい
ウッチョク 置いておく
ウンダモシタン それは知らんことで
ウンニャ いいや ウンメ おいしい
オイ おれ、自分 オズン 目がさめる
オセ おとな オハン あなた
オヤットサア おつかれさま オラブ さけぶ
オロイ そまつ オンジョ 年寄り、年配者
カ行
カカイヨナ かかりあうな カゴム しゃがむ
ガッツイ ちょうど カネッカイ かねてから
ガンブイ いっぱい ガンタレ だめな、役にたたない
ギイガテ 義理がたい キッサネ きたない、ずるい
キホジイ 気晴らし キノッテ 先日、この前
キバレ がんばれ キンキン きちんと正座
クセラシ 生意気な クデ くどい
グラシ かわいそう
グワンタレ 最下等のもの
ケシンカギイ 死ぬほど、精一杯 ゲンネ はずかしい
コエ つらい ゴテ 足、すね
ゴッタマシ たくましい コッカゼ 東風
サ行
サダッ にわか雨 サミ 寒い
シッタレ 末っ子 スッパイ 全部
ズッサラシ だらしない スッタイ とても
ズバッ たくさん スンクジラ 隅っこ
ズンダレ だらしない ズンバイ たくさん
セガラシ うるさい、やかましい セッネ せつない
セッペ 精いっぱい ソガラシ ものすごくたくさん
タ行
タギル わく ダッキショ 落花生
タマガッ おどろく ダレタ 疲れた
チョッシモタ ちぇっ、しまった テンガネ お利口な
テセ だるい テゲテゲ いい加減
デコン 大根 テナン 連れ立つ
ナ行
ナイゴチ なぜ ナイシチョット 何をしているの
ナケベシ 泣きむし ナゴブイ 久しぶり
ナッカブイ なきだしそうになる ナンチュテン 何といっても
ナンカカル もたれかかる
ニガゴイ にがうり ニケ 新しい
ネッカイ 全部 ノサッタ 運がきた
ハ行
ハエンカゼ 南風 ハッチタ 行ってしまった
ハラカッ 腹をたてる ヒダリ ひもじい
ヒッタガマッ びっくりする ビンタ
マ行
マイケンナ まれには マコチ まことに
マッナゲ 待ち遠しい ミゴチ 美しい
ムゼ かわいい モヘ 早くも
ヤ行
ヤゾロシ うるさい ヤッケナ やっかいな
ヤッセン だめだ ヤッセンボ 臆病者
ヤンカブイ 髪のみだれた様子 ヨロッデ みんなで
ラ行
ワ行
ンダモシタン あらあらまあ
単語文例集
どげんかせんといかん
「どげんかせんといかん」ということばが2007年度の流行語大賞に選ばれ、全国的に有名になっています。2007年2月、宮崎県知事の東国原英夫氏が初めて県議会に臨んだ際に行った所信表明演説で述べられたフレーズの一部「どげんか」は「どうにか」という意味です。隣接、鹿児島県でもよく使われることばです。鹿児島県出身の長渕剛の「きばいやんせ」の一番の歌詞の歌い出しに「どけんしてんやらんといかん事(こっ)がよ 俺(おい)にもお前(わい)にも ひとっぐらいある・・・」とあります。「どげん」の意味と使い方を紹介します。
○どげん:どう。「からだんぐあいはドゲンな」(体の調子はどうですか)。「いまかいドゲンすっとな」(これからどうするの)。「そやドゲンデンよか」(それはどうでもよい)。「ドゲンしてんやらんといかんこっがあい」(どうしてもやらないといけないことがある)。「ドゲンでんこげんでんあっこな」(どうにでもこうにでもあつかうな)。「ドゲンかせんないかん」(どうにかしないといけない)。「ドゲンしざっもね」(どうしようもない)。
また、「どげん」は次のように「かかと」の意味もあります。
○どげん;足のかかと。「ドゲンがいて」(かかとがいたい)。「ドゲンにも食いつかならん」(実力者に対する羨望と憧れ、敬服の念を込めたことばである)。「あの人の爪の垢でも煎じて飲め」と同意。

分類による方言単語

自然
方言           標準語訳               方言                標準語訳               
アチ 暑い サミ 寒い
ヌキ 暖かい ヒイ
ヨイノモテ 夕方 キュ きょう
キヌ きのう オトテ おととい
ヒシテゴシ 1日置き ヨベ 昨夜
ナガシ つゆ・梅雨 ヒエクッ 冷え込む
ウカゼ 大雨・台風 ガイシ 軽石
アマメ ごきぶり 蠅(はえ)、灰(はい)
人物・病気
ビンタ ツラ
イッダマシ たましい ゴテ
アンベ 病気 アンベガワリ 病気が悪い
ケシンダ 死んだ ケシンミャシタ 死なれた
人称
オイ 自分 ワイ
アイ オイドン われわれ
ワイドン 君たち アイドン 彼ら
オハン あなた オマンサー お前さま
コノッサー この人 アノッサー あの人
コンワロ こいつ・この奴 アンワロ あいつ・あの奴
ダンナサー ご主人さま ウッカタ 妻・家内
オゴジョ 乙女・少女 チゴ 少年
ニセ 青年 ヨカオゴ 美少女
ヨカチゴ 美少年 ブニセ みにくい青年
イッコッモン がんこ者 ズンダレ だらしない奴
ボッケモン 大胆な人・冒険者 ヤッセンボ 弱虫・役立たぬ奴
ナントンシレンヤッ ろくでもない奴 ヨソモン よそもの
注:敬語として「どん(殿)」「サー(様)」と発音、者は「モン」と発音する。西郷殿 セゴドン 仏さま ホトケサー
衣・食・住
アレモン せんたくもの イッチャビラ 晴れ着、特上の着物
クッ くつ ダンガサ こうもり傘
オカベ とうふ ショツ・ソツ 焼酎
イヨ デコン 大根
カラカラ かんびん チャジョカ きゅうす
職業
アオモンヤ やおや  アラモンヤ あらものや
イササー お医者さま カッドン かじや
子ども
アスッ  あそぶ  アスッドッ 遊び道具
カッタ かるた・めんこ ギッタンマイ ごむまり
びびんこ かたぐるま ユッサゴ ゆりかご・ぶらんこ
動詞・形容詞・副詞
イジクッ まぜくる  イッモハン いけません         
ガイタクッ 叱りつける ガッ 叱る
キバッ 気張る・がんばる クイヤンセ ください
ケシンダ 死んだ ケッサルッ くさる
タマガッ おどろく ダレッ つかれる
チョッシモタ しまった ナンデンシガナッ なんでもできる
ハメックッ せいをだす ヒッタマガッタ おどろいた
フガワリ 運が悪い・運がない フンタクッ ふみつける
ミロゴッモナカ 見たくもない アッタラシ 惜しい・もったいない
ガンタレ 悪い品・役立たぬ奴 キッサナカ きたない
グラシカ かわいそうに ゲザラシ 下品な
ゲンネコッ 恥ずかしい ゴブレサーナ ご無礼さまな
ズッサラシ しまつが悪い ズンダレ なりふりかまわぬ
チンケ 小さい チンガラ こっぱみじん
テゲテゲ 大ざっぱ バッタイイカン どうにもならぬ
ヤッケナコッ やっかいなこと ヤゾロシ うるさい
アゲンモコゲンモ あんなにもこんなにも ガッツイ まったく・ちょうど
スッタイ すっかり ソゲン そのように
ソシコ それだけ テゲテゲ たいがい
ホンノコテ ほんとうに ホンノコチ じっさいに
マコテ・マコチ まことに ウンダモシタン ああどうしよう
チョッシモタ やりそこねた モウヤッセン もうだめだ
ジャッドカイ そうだろうか。 ドシコナ いくらですか
ナイスット 何をするの チェストイケ 死にもの狂いで進め

データ採録中

鹿児島方言のたくさん入ったうたとして「茶わんむしのうた」が有名である。茶わんむしにみる方言の世界と最新情報として茶わんむしのルーツについても紹介します。

(ここにマウスポインタを置くと最上段に戻ります)