大隅ふるさと祭り風景 表紙TOPへ
大隅半島の各地では新暦の2月から3月にかけて各地の神社を中心に、その年の豊作を祈願して春祭りが行われる。この春祭りは打植祭り、正月祭り、2月祭り、団子(だご)祭りなど名称は多様で、内容も変化に富む。春祭りでは神楽(神舞)が奉納され、方言を交えたユーモラスな即興の台詞や所作で田打ちや牛使いの様子が演じられる。二本の股木を互いにひっかけて引き合い、豊凶を占うカギヒキ祭りも大隅地方独特の祭り風景だ。旧暦八月になると水神祭りがおこなわれ、このとき奉納されるのが八月踊りである。秋の収穫期にはホゼ祭りがおこなわれ、曽於市大隅町の弥五郎どん祭りや肝付町、末吉町の流鏑馬祭りが盛大に繰り広がられる。農耕文化が息づく大隅半島の大自然の中で、人びとは、心ふれあう祭りを今に伝承し、四季折々に、楽しんできた。 
ふるさとの伝統祭り ふるさと伝統祭り風景 動画でみる祭り風景
ふるさとの伝統祭り



四十九所神社流鏑馬 弥五郎どん祭り 荒佐祭り・神舞



だご祭り だご祭り・神楽 二十三や市



棒踊り 鉤(かぎ)引き祭り 東串良ルーピン祭り・甚句おどり
お釈迦祭り 高須町「祇園祭・刀舞」 笠野原「十五夜大綱引き」
ふるさと伝統祭り風景
四十九所神社流鏑馬 弥五郎どん祭り だご祭り・神楽 山宮神社春祭り
山宮神社の正月踊り 荒佐祭り・神舞 二十三や市 鉤引き祭り
高須町「祇園祭・刀舞」 東串良ルーピン祭り お釈迦祭り 笠野原「十五夜大綱引き」
四十九所神社流鏑馬(やぶさめ)肝付町(旧高山町)
疾走する馬上から、騎手の少年が的をめがけて矢を放つ古式豊かで勇壮な流鏑馬。肝付町の四十九所神社に伝わる流鏑馬は同町新富の四十九所神社前の宮之馬場で奉納され、町内外からのたくさんの観客でにぎわう。祭りはまず町内パレードから始まる。町内をひとめぐりしてから神社で祝詞の奏上に次いで、「弓取り」の儀式がおこなわれる。馬が走るのは、同神社から真一文字に伸びる宮之馬場という通りで、長さは330m。真砂で馬場が清められ、馬場ならしがすんだあとの本番では騎手が三カ所にたてられた板的をめがけて、疾走する馬上から矢を弓につがえ、次々に射る。馬場を3回駆け抜け、合計九本の矢を射り、たくさん当たれば、来年は豊作と伝えられる。馬場を駆け抜け、弓をひく度に沿道の大観衆から拍手喝采が沸き起こる。

色鮮やかな狩装束(かりしょうぞく)姿で、疾走する馬上から的をめがけて矢を射る勇壮な流鏑馬

弥五郎どん祭り曽於市大隅町岩川
弥五郎どん祭りは,大隅町岩川八幡神社の大祭をいい、11月3日に開催される。弥五郎どん祭りは、昭和63年、県無形民族文化財に指定され、県下三大祭のひとつに数えられる。一説によると、弥五郎どんは武内宿弥の化身あるいは隼人の酋長であると言われる。11月3日、午前1時に「弥五郎どんが起きっどー」のかけ声で弥五郎どん起こしの行事が始まる。ふれ太鼓を打ちながら神社周辺を廻って神事が行われ、弥五郎どんの組み立てが始まる。今年は4年に一度の作り替えの年。本体は竹籠で作る。25反もある反物を使って縫い合わされた真新しい梅染めの木綿の衣を胴体や腕に巻いて制作する。午前4時、弥五郎どん起こしの太鼓が鳴り響く中で弥五郎どんを起こす。午前7時には四輪の台車に立てられた身の丈4,85m、腰に長さ4,25mと2.85mの大小刀を腰に差した立派な弥五郎どんが完成する。午後1時、浜下りが始まり、子供たちに引かれた弥五郎どんが、市街地を練り歩く。沿道は弥五郎どんの巨体を一目見ようと県内外からたくさんの見物客が訪れて賑わう。八幡神社近くの岩川小学校の校庭では武道大会が奉納される。

弥五郎どんの浜下り風景

だご祭り・神楽志布志市田之浦
「だご祭り・神楽(神舞)の里」田之浦
春の訪れを告げる志布志市志布志の田之浦山宮神社の春祭り「だご祭り」は、氏子である田之浦地区12の各集落から1本づつ、長さ約2メートルの孟宗竹の先にワラツトを巻き付け、紅白の団子の竹串や金柑、椿の花などをつけた「団子花」(だごばな)が奉納される。団子の竹串は稲穂の代わりであるとされる。このだご花は、神事・神舞終了後に無病息災・五穀豊饒を願って参拝者に配られる。この時、老若男女を問わず、だご花に殺到、競うようにだご花を求め、祭りはピークに達する。手にしただんごは、煮て食べたり、豊作を祈って床の間にかざったりしてその年の五穀豊饒、家内安全を願う。

手にしただんごを見せ合ったり、分け合ったり、境内内は笑い声と弾んだ会話に包まれる。

稚児鬼神舞風景

山宮神社春祭り鹿屋市串良町
正月踊り(棒踊り)  鉤引き   田打(たうち)
山宮神社(鹿屋市串良町)の春祭りは五穀豊じょうと家内安全を祈念して、約400年の歴史を持つ伝統行事だ。山宮神社春祭りに伴う芸能は、「正月踊り、鉤引き、田打」から成り、昭和37年10月24日鹿児島県指定無形民俗文化財に指定されている。

堂園集落の棒踊り

馬掛集落の棒踊り 

山宮神社の正月踊り志布志市安楽

安楽山宮神社の正月踊りは黒頭巾を着けた白黒の装束の正月踊りが大きな特徴で県の無形文化財に指定されている。黒のお高祖頭巾に黒紋付、黒の手甲脚絆に黒の足袋という黒装束に身を固めた地元青年達が、腰に手拭、サルノコ人形をさげて踊る珍しい踊りである。この正月踊りは境内だけでなく、「庭回い」といって、安楽校区内の九つの自治会を回って踊られる。正月踊りは、九つの踊りからなり、最後は早いテンポのにぎやかな踊りで締めくくられる。

「庭回い」での正月踊り風景。黒頭巾を着けた白黒の装束の正月踊りが大きな特徴だ。

荒佐祭り・神舞(照日神社祭り)大崎町

荒佐祭りは大崎町野方の荒佐にある照日神社の春祭りとして、毎年3月第二日曜日に例祭が行われる。神社境内では恒例の神舞奉納・剣道大会が開催され、植木市や露店が並び、境内一角の舞台では荒佐祭り恒例の神舞を初め、合奏・遊戯・日舞等が発表され、たくさんの人々で賑わう。

荒佐祭り神舞奉納の一場面「四人鬼神の舞」

二十三や市鹿屋市串良町
大隅路に春の訪れを告げる「くしら二十三や市」
二十三や市は江戸時代後期の天保年間から旧暦の12月23日に正月用品の物々交換の場として始まったもので、戦後一時途絶えた時期があったが地元の商工会が昭和27年に復活させ、毎年この時期に開かれる。鹿屋市串良総合支所周辺道路は歩行者天国となり、県内外から約300店舗が軒を並べ、地元の特産品や陶器、刃物、農具、竹細工等の生活実用品のほか、日用雑貨、食品などが販売される。特に、植木市や陶器市は昔ながらの人気があり、二十三や市の名物となっており、春を告げる大隅路の風物詩だ。二十三や市では剣道大会や音楽パレード、ちんどんパレード、三味線や太鼓の演奏、猿まわし劇場などの楽しい多彩な催しも行われ賑わう。

春の訪れを感じさせてくれる沿道の植木・苗木市の風景

鉤引き祭り 鹿屋市高隈地区中津神社
「鉤(かぎ)引き祭り」は上、下両高隈地区の青壮年たちによって、二股の雌木とかぎまたの雄木をからみ合わせて引き合う神事で五穀豊穣(ほうじょう)と無病息災を願う伝統行事。300年以上の歴史を持つこの綱引きならぬ「鉤引き神事」は負けると豊年の夢も破れるとあって、老いも若きも元気いっぱい、汗だくになって熱戦を繰り広げる。鈎引き祭りは鹿屋市上高隈町の中津神社境内で行われ鹿屋市無形民族文化材に指定されている。もとは旧暦2月の初卯の日に行われたが現在は毎年2月の第3日曜日に行われる。

負けると豊年の夢も破れるとあって、老いも若きも元気いっぱい、汗だくになって熱戦を繰り広げる。

東串良ルーピン祭り・柏原大相撲 東串良町
柏原海岸砂丘地の面積約5ha、長さ約1kmにわたってルーピンの花の黄色い帯のじゅうたんが続く。このルーピンは、去年の秋、地元の人たちがボランティで種まきして育てたものだ。約100万本のルーピンの花が咲き誇る中、恒例の「東串良ルーピン祭り&潮干狩り」と柏原大相撲が開催され、町内外の親子連れ等およそ5千人の人出で賑わう。
 柏原海岸の松林内では250年余りの歴史を持つ伝統行事の柏原大相撲が開催された。地元女性による相撲甚句踊りがあり、子供相撲大会や県内の高校相撲部の招待相撲・対抗戦など熱戦が繰り広げられた。

地元女性によって踊られる相撲甚句踊り風景。踊りでは,人気力士の名入りの化粧まわしをつけ、三味線や太鼓の囃子にのって踊る様は,ユーモラスで豪快である。
お釈迦祭り 志布志市志布志町
4月29日、志布志の伝統行事、お釈迦(しゃか)祭りが開催され、近郷近在からたくさんの参拝客や見物人で賑わった。お釈迦祭りは「お釈迦様」の誕生を祝う祭りで、宝満寺を中心に毎年開催され、鹿児島県の三大祭のひとつに数えられる。昔はお釈迦様誕生日の4月8日に開催されていたが、現在は4月29日のみどりの日に開催される。「4月8日(しがつようか)」がなまり「しがっじょか」とか、4月8日は桜花の盛りであることから「花祭り」ともよばれる。宝満寺は安産に御利益があることで有名で、祭りでは花嫁を馬の背に乗せ、花婿が手綱をひくシャンシャン馬の行列が行われ、今年は5組の新婚カップルが参加した。境内では花々で屋根を飾った花御堂の中に、釈迦の立像を安置し、参拝人が小さな竹の杓子で立像に甘茶を注ぎ一年の無病息災を願う人々で人垣ができていた。境内や歩行者天国の特別ステージでは太鼓や踊り、演芸等の発表等があり、志布志の町は一日中祭り一色に包まれた。

お釈迦祭り恒例のシャンシャン馬パレード

映像でみるふるさとの祭り風景(YouTube)

弥五郎どん祭りで奉納される「弥五郎太鼓」の迫力ある太鼓の響き

弥五郎どんの浜下りと弥五郎どんの沿道パレード風景

笠野原「十五夜大綱引き」

山宮神社春祭り「棒踊り」

安楽神社「正月踊り」

鹿屋市笠野原町の伝統行事「笠野原十五夜綱引大祭」の動画風景。

山宮神社の春祭りに奉納される伝統芸能の「棒踊り」。(鹿屋市串良)

志布志市安楽の山宮神社春祭りに奉納される正月踊り


高須町「祇園祭・刀舞」

志布志「お釈迦祭り」

肝付町「鎌踊り」

鹿屋市高須町の祇園祭・刀舞。刀舞は山車の代わりに披露される。

志布志お釈迦祭りの太鼓パレードとシャンシャン馬。

五穀豊穣や無病息災を祈願して踊られる。肝付町伊勢神社(野崎地区)
ふるさとの祭り風景動画編(windows media player)

志布志委市山宮神社「田の神舞」

志布志市安楽神社「打植祭」
神楽で舞われる鹿児島の田の神舞は即興の方言寸劇で舞われる事が多く、舞の中に地域の方言が生き生きと表現されている。農民の田吾作がダゴ祭りにきた田の神の後をついて回り、田の神の持っている道具をねだり、使い方までならって譲り受ける。最後はメシゲやスリコギだけでなく、田の神の大切な持ち物ガッサイまでも欲しがるが・・・。語らいは臨機応変である。(志布志山宮神社の春祭り「だご祭り」の神舞) 志布志安楽神社に奉納される打植祭では、境内を田に見立て、「田打ち」「牛使い」「種蒔き」「田植え舞」「カギ引き」等の打植祭が行われる。「ビョービョー」とベブ(牛)を呼ぶと牛(人が扮し牛面をつける)が登場。馬鍬(モガ)をひいて田ならしをする。田の神さあが牛にちょっかいをだし、田の神さあと牛とのユーモラスな所作が会場の笑いを誘う。
志布志山宮神社の春祭り「だご祭り」の「田の神舞」では、メシゲとスリコギを持った「田の神」が登場し、方言を交えたユーモラスなお田植え風景の神舞が奉納される志布志安楽神社に奉納される打植祭では、境内を田に見立て、「田打ち」「牛使い」「種蒔き」「田植え舞」「カギ引き」のお田植え風景の寸劇や神舞が奉納される。

山宮神社(鹿屋市串良町)棒踊り

山宮神社(鹿屋市串良町)鉤引き祭り
山宮神社(鹿屋市串良町)の春祭りは五穀豊じょうと家内安全を祈願して、約400年の歴史を持つ伝統行事だ。山宮神社春祭りに伴う芸能では、「棒踊り」、「鉤(かぎ)引き、田打」が奉納される。

肝付町八月踊り

肝付町の四十九所神社の流鏑馬
肝付本町八月踊りは、五穀豊穣、無病息災を祈願して、隔年9月第四土曜日に開催され、初秋の風物詩となっている 肝付町四十九所神社に奉納される流鏑馬は、五穀豊穣などを祈願する神事として900年近い歴史と伝統を誇り古式豊かで勇壮な流鏑馬だ。
このページは隅地方にたくさんある伝統祭りの一部を紹介しています。11/10/22〜サイド計Count  top累計Count