鹿児島方言の特色と背景   


鹿児島方言の特色

アクセント

鹿児島語のアクセントは、一般に、最後から2番目の音節をたかくするA型と最後の音節を高くするB型がある。A型・・ 「トモッ」(友だち)、「ミッメ」(みずあめ)、「アカラ」(せきり)など
B型・・「アン」(具合)、「クッゾ」(くつぞこ)などこれはあくまで一般論であって、地域や会話の状況によって異なってくる。共通語と鹿児島語ではアクセントが違うといわれる例の一つに「アメ」(雨)と「アメ」(飴)が挙げられる。共通語では「雨」は「メ」、「飴」は「アメ」。鹿児島ではその逆

音韻の変化

・aiがeに変化する。例えば「灰」(はい)も「蠅」も同じく「ヘ」。「貝」は「ケ」、「買い」も「ケ」。「ケをケッケ」というと「貝を買って来い。」になる。「大根」(だいこん)は「デコン」、「書いた」は「ケタ」
・語尾のニ、ヌ、ノ、ミ、ムは「ン」になりやすい。「銭(ゼニ)」は「ゼン」、「犬(イヌ)」は「イン」、「西郷殿」は「セゴドン」、「紙(かみ)」は「カン」、「たたむ」は「タタン」
・促音(つまる音)化 「泣こかい、とぼかい、泣こよっか、ひっとべ」というのがある。これをつまる音(促音)から考える。「泣こよっか」の「よっか」は「よりか」のなまり。次に「ひっとべ」の「ひっ」。これは「勢いよく行う」意の強意の接頭語。「落ちた」は「ヒッチャエタ」となる。
この促音(つまる音が鹿児島の方言の最大の特徴である。

古語の残り

「アッタラシ」は「惜しい」の意。「惜しい」意の「あたらし」は、古くは「古事記」「万葉集」「源氏物語」などにも見えている。その促音化した形が「アッタラシ」となった。
「オテケッ」は「いったん回復しかけた病気が、またもとの状態にかえること」。これは古語「復返る(をちかえる)」にもとづく。「オラブ」は「大声でどなる」の意。「万葉集」の中に「・・・叫びおらび」とよまれている。「トゼンネ」は「さびしい、うら悲しい」の意。漢字では「徒然」と書く。「徒然草」の序段「つれづれなるままに・・・」が連想される。

接頭語の多用

予想に反して勝つことができたら「ヒッ勝った」で負けたら「ヒン負けた」となる。「ヒッ」も「ヒン」も強意の接頭語。下記の例のように鹿児島の方言には強意の接頭語が多用される。

ひったまがる たまがい(びっくりする)。もっとびっくりぎょうてんしたら「ひったまがった」となる。語源は古典語の「魂消(たまぎ)る」。鹿児島の方言には「ひっ」のついた動詞がたくさんある。「ひっかぶい」「ヒッチャユイ」「ヒッチギイ」など。
ちんがらっ ふつう「こっぱみじん」「めちゃくちゃに」と訳される。「ちんがらっ ひんまけた」(試合などで完敗したときなどに使う)。ちんがらっは「がらり」の共通語に強意の接頭語「ちん」がついたものである。接頭語の「ちん」も「がらり」も擬声語という説がある。
はっちく 行ってしまうーの意。「ハッ」という強意の接頭語に「行く」という動詞が結合し、促音化し「はっちく」となぅた。「這って行く」説もある。
はんとくい つまずいてたおれるーの意。接頭語の「はん」に「たおれる」の複合語。「ハン解ける」とした説もある。
ほたいまけた 負けてしまったーの意。ホタイの原義は「放る」で「放り投げる」の意。「ほたい」は好ましくない場合に使う。だから「ほたい勝った」とはいわない。「ほたいおてた」「ほたいけしん」「ほたいなぐっ」「ほたいにぐっ」「ほたいうっせ」などたくさんある。
うっすい 「うち捨てる」の鹿児島語なまり。「うち」は強意の接頭語。「ゼンヌ ウッセタ」(お金をなくしてしまった)。「ウッガッタ」(こわした)、「ウックヤス」(こわす)、ウッタクル(なぐる)、ウッチャメタ(とりやめた)、ウットクイ(たおれる)、・・・などたくさんある。
「ひん」のつく接頭語 「ひん寝らんか」の「ひん」も強意の接頭語。鹿児島の方言ではよく使われています。
ひん曲がる。ひんもどいが(帰ろうよ)。ひんにぐい(にげてしまう)。ひんねまい(腐る)。etc

接頭語に関するアンケート調査研究結果の投稿レポート 

鹿児島方言の背景

鹿児島弁は東北弁とならんでわかりにくい方言だと言われている。なぜ鹿児島弁はむずかしいか。「それは、島津の殿様が、徳川方の隠密(おんみつ)を防ぐために、わざとこんな分かりにくいことばにしたからだ」という説があるがそれだけで片付けてしまうわけにはいかない。
東北地方と同じように、日本の南端の辺境にあり、日本の中央部から遠く離れているという地理的条件やしかも長い間の二重鎖国によって特殊な発達をとげたからではないかといわれる。


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