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 旗山神社・柴祭り・立神岩鹿児島県肝属郡錦江町
 旗山神社  柴祭り  祭り2日目  立神岩・根性松  神 舞
 旗山神社
旗山神社は 錦江町池田地区にあり、由緒は不詳であるが千数百年前の建立といわれ,道路を隔てた境内には樹齢約800年以上のオオクスが、その威容を誇っている。旗山神社名前の由来は、薩摩藩第9代島津忠国のとき、戦場に必要な幟旗用の竹竿を確保するため池田地区に竹を植えさせたことから「旗山神社」と命名されたという。ここ、旗山神社では大隅半島だけに伝承されているきわめて古い形式の正月行事「柴祭り」が毎年1月2日から4日にわたって執り行われる。最終更新日2019/01/02
 
旗山神社と境内のオオクス
 
 
 旗山神社鳥居と拝殿   
 柴祭り<鹿児島県大隅半島に伝わる正月伝統行事>
  柴祭り行事内容 <1月2日から1月4日まで行われる>

錦江町池田の旗山神社、正月行事の「柴祭り」は、1月2日から4日まで三日間かかって行われる。初日の1月2日は安水地区の立神神社をめぐって稲作と狩りにかかわる事始めの内容、二日目の1月3日は、山の神の柴の神(しばんかん)を祀る内容、三日目の1月4日は 高尾(高穂)神社」を巡って、「一の柴」「二の柴」「三の柴」の芝立て神事が執り行われる。この祭りが終了すると、柴の口(シバンクッ)が開いたといって、それから後は山に入って山仕事をしたり猟をしたりしてよいことになる。

1月2日(一日目の行事)   
立神神社(安水地区)をめぐって、稲作にかかわる事始めの行事 
 立神(たちがみ)神社で田打ち行事。幣と麻の緒をつけた榊を本殿にたてかけ、立神様を移し、その前庭で田打ちから苗とりまでの所作をする。終わると、祝人(ほいどん)と怜人(れいじん)は立神様を勧請した神榊を捧げ、旗山神社へ向かう。途中に寄る宿では、歌い始め、針の使い始めなどの事始めの行事をする。各家の畑では、鍬を三度打つ鍬おこしが行われる。 <行事を担う中心は、神役の祝人(ほいどん)と、そのつきそい役の怜人(れいじん)である。
現在の立神神社2019/1/2)
 利便性の良い安水地区に移築され二年目の現在の立神神社
新社殿で祭礼の儀式のあと、社殿前の狭い境内の一坪ほどを田に見立て、神官の和歌の朗詠に合わせて、人が牛に扮して田打ちの神事が執り行われた。
 
   
 旧立神神社での柴祭り2015/1/2)
   
清流の流れる神ノ川を渡った川沿いに小さな立神神社の拝殿があった。
拝殿前の狭い境内では地区の人たちが火を焚き、神事の準備が進められていた。
神事では田の神を招く安水集落の豊作祈願が行われた。拝殿で神事が行われている間、外では火が焚かれ、傍の山からサカキの柴を折り、それを立てた前で田打ち等の祭礼の準備が進められた。
 田打ち行事
 
狭い境内の一坪ほどを田に見立て、二股の木で盛り土を耕し、人が牛に扮して田おこしをする田打ち行事が始まった。
   
「新たなる 時の初めの 門松は・・・春くれば・・・・」豊作を祈願した五・七・五の和歌が詠まれ、リズムにあわせて田打ちから種まき・苗とりまでの所作が行われた。それぞれ詠み終わると急に牛が暴れ出し、土かけが始まり、神職も参列者も一目散に逃げだし、狭い境内は笑いの渦に包まれた。  
 
 耕した田に籾が蒔かれ、今年の豊作を祈願して田打ち行事は終了。
 備考
当日は宮司やその他の神職はハサミやソリを使い正装して出かけ、この日のことを俗に旗山の神が「嫁ジョ貰イケ行ッキャル」と称されている。
翌3日にはシシ狩り始めの行事が行われる。
1月3日(二日目の行事) シシ狩り神事     2017/1/3
二日目の祭り行事は、旗山神社から歩いて15分ほどの「この坂」で行われるシシ狩り神事だ。神事では餅盗人(もちぬすと)」や、イノシシ狩りの一連の神事が行われる。 神事の模擬猟は、シイノキなどの枝を寄せ集めてヤマというしげみをつくり、シシに見立てた50cmほどの藁苞を神職が狩人となり、シシを見つけた仕草をして弓をもって射る。 射たイノシシは炊いた火で焼き、シシ代わりにもってきたシトギを配って食べる。
 二日目 神事の流れ
 
 
 午後1時 神事の始まり
   
ホコや面、竹弓など神事に使う道具をそれぞれ持ち、シシ狩りへ出発  
 イノシシ狩りの前に「餅盗人(もちぬすと)」神事 14:00
 先ず「山の神(やまんかん)」と「餅盗人」の人形の形を白紙に書いておき、魔物・疫病除けとし、餅盗人の絵を小枝で突き刺して外的への懲らしめとしる。次いで後方の小高い所でシイや樫の木の枝を立ててヤマを作り、イノシシに見立てた藁苞(わらづと)をを置き、シシ狩りの所作をする。
 
山の神の絵
 餅盗人の絵
   
地元のことばでおもしろおかしく餅盗人の絵を小枝で突き刺す神官と枝がささった餅盗人の絵 
 シシ狩り神事 14:10 
いよいよ、シシ狩り神事へ。シイノキなどの枝を寄せ集めてヤマというしげみを作り、別に50cmほどのイノシシに見立てた藁苞シシをヤマの中に入れる。神職が狩人となり、弓と矢をもってヤマを囲む。「千匹ほどの犬が・・・・千匹ほどのイノシシが・・・千人ほどの狩人が・・・・」が唱えられると、狩人はシシを見つけた仕草で弓をもって射り、大きなイノシシを二頭仕留めた。
 シシ狩り神事風景
   
   
   
焼く<火のたきはじめ> 14:20
 猟で射た藁のイノシシや弓矢の使った道具を焼く。この時の焚き火が火の炊き始めとなる。
   
 食べる<矢開き> 14:40
途中の鳥越という岡でヤビラキ(矢開き)を行い、シシの肉として持参したシトギを配り、「トーン」という声を発してから食べる。 
 
シシ肉代わりに持参したシトギを切りみんなに分け与える。
 
食する前に「トーン」という大声を発してからいただく。
シシ猟を終えて帰路へ 14:50
 この坂を後にして神社で簡単な神事が行われる。
   
 鬼人舞い   15:10
 神社に帰るとイノシシが捕れた祝いの神舞「鬼神舞」が舞われる。
   
 

備考 
しとぎ:水に浸した生米をつき砕いて、種々の形に固めた食物。神饌(しんせん)に用いるが、古代の米食法の一種といわれ、後世は、もち米を蒸して少しつき、卵形に丸めたものもいう。  
  1月4日(三日目の行事)
三日目の正月4日は.高尾神社をめぐり  一ノ柴、二ノ柴、三の柴を立てる.。柴祭は山の口開けの行事でもあり、一連の祭が終わるとこれ以降、狩りや山仕事ができるようになる。 
立神岩
神ノ川を渡ったその先に小さな立神神社拝殿が鎮座し拝殿左手に聳え立つ30mもあろうかと思われるローソク状巨岩の立神岩があった。この岩は数万年前にこの地を覆った噴火の噴出物「阿多凝灰岩」が流水により削れら現状のローソク状の岩となって残ったものだという。 
   
拝殿左手にそびえ立つご神体のローソク状の立神岩
 
社殿の背後にそびえ立つ円筒状の岩
 立神岩に根付く根性松
 立神岩の全容は神社近くの神ノ川に架かる安水大橋から眺望できた。岩頂上には松が生え、自然のたくましさと造形美に圧倒された。
 
安水大橋から眺望する立神岩の岩上に根付く根性松
 
 神ノ川と立神岩根性松
 
地上部からの立神岩眺望

旗山神社に奉納される神舞 
 
旗山神社に奉納される神舞、かつては正月三日間、神舞が奉納された。<柴祭りから>
 
山神鬼神舞(やまんかんきじんまい)
 
旗山神社に奉納される神舞<宿利原2010大根干しやぐら・ライトアップイベント から>

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