鹿児島の方言 活動、取材、インタビュー

方言で読み聞かせ会 

「ぼっぼっいこかい」「うんだもしたん」
 朗読ボランティア団体「PO絵夢」による読みきかせ会
語り手の一言、一句に子どもたちは大爆笑でした。
「意味がわかりましたか」の質問に対して半数以上が「意味はわからない」と答えていました。意味よりアクセントやイントネーションの方言独特のユーモアの響きが笑いを誘ったのかもしれません。
それにしても方言の語りがこんなにも子ども達の興味・関心を惹きつけるなんて新たな発見でした。読み聞かせの一部と子どもたちの笑いを音声でおききください。



活動風景と取材風景 活動の様子はテレビ東京により取材されました。テレビ東京世の中ガブッと」

朝市での会話風景・インタビュー
朝市での会話「あったらし」「まこち

鹿屋市土曜朝市での二人の会話を取材

取材場所:鹿屋市土曜朝市で東洋蘭「寒蘭」を販売している場所

場面:「寒蘭」の値段を知らない女性が「そんなにたくさん蘭鉢があるので二つか三つぐらい私にも頂戴よ」と言っている場面。対する男性はこんなに高価な物をあげるのは「もったいない」と返している。


鹿屋の土曜朝市での会話風景です。巧みな方言がとびかっています。聞いてどれだけ理解できましたか。
会話文 共通語訳
女 おいせえ こんふたっ みっつ 
     くえられあ よかとお
男 うんにゃ そや あったらしじ
     くえがなんでや はんな
女 まこち そえん あったらしどかい
男 まっ いうもんじゃ まっ あったらしが 
女 わたしに この(中から) 二つか三つ 
    くださいませんか
男 いいえ それは もったいないので
    あげらせませんよ あなた
女 本当に そんなに もったいないですか
男 まあ おっしゃること 本当に もったいないですよ
単語訳
「あったらし」は「惜しい」「もったいない」の意 古語「アタラヲシ」が語源
「おいせえ」は「自分に」とか「私へ」の意
「くえられあ」は「くだされば」の意
「よかとお」は「いいのに」の意
「うんにゃ」は「いいえ」の意
「はんな」は「あなた」の意
「まこち」は「本当に」の意 「誠に」の訛り
「そえん」は「そんなに」の意

    敬語会話文例 ていねいなあいさつことば「あいがともさげもした」・・・

鹿屋市土曜朝市でのインタビュー風景
○女客が女主人を訪問したときの会話例
女 客 「ゴメンナンシ オサイジャスカ」
   訳「ごめんください。いらっしゃいますか。」
女主人 「ウンダモウ ユクサ オサイジャシタ」
   訳「あらまあ、ようこそおいでくださいました。」
女 客 「マコテ ゴブレサア シチョイモス」
   訳「まことに、ごぶさた申しております。」
女主人「ホンニ サシカブイ イッキョアゲモシタ」
   訳「ほんとうに、久しぶりに、お会い申しあげました。」
女客「アイガトモサゲモシタ」
   訳「ありがとうございました。

「アイガトモサゲモシタ」ありがとうございました
最高の感謝の意を表すあいさつ語。「アリガトウ モウシアゲモウシタ」からきたことば。
「ユクサ」は「ようこそ」のなまり。「オサイジャシタ」も主として婦人用語。友人同士なら 「ユ 来たね」ですまされる。もう少し他人行儀なら「ユッサ来ヤシタ」(ようこそおいでくださいました」

「鹿児島の方言事情について」インタビュー

鹿屋市土曜朝市
鹿児島では、かつて共通語教育をかなり強力に行ったため、若い世代の方言離れが顕著に表れている。
戦後、高度成長期に伴い都会への集団就職が盛んになっていた時代があった。就職先で恥をかかないようにということで学校では、共通語教育に力が入れられた。学校内で方言を使うと札をさげさせられたり、罰を受ける等、学校教育を中心に鹿児島の方言は受難の時代が続いた時代があった。情報の発達もあり、今後ますます方言はふるさとから消えゆく運命にあるか。それとも・・・
鹿屋市の土曜朝市で地元の人にインタビュー。
鹿児島の方言事情についてインタビュー取材

おもしろい単語 インタビュー風景
タワシを「ソラ」、空も「ソラ」・・・
タワシを「ソラ」、空も「ソラ」・・・おもしろい方言や残しておきたい方言を取材しました。
「空」ではない。「たわし(束子)」のこと。
若年層では使われないが高齢層では現在でも使われている。語源と由来は「ささら」の転義・訛り。「ささら」は「竹を細かく裂いて束ねたたわしのような物。なべなどの焦げ付きを落としたりする時使う」(日本語大辞典)とある。わらや縄(なわ)等で作った、ごつい手製のものは「わらぞら」という。
「もっと、ワラゾラで、ごいごい、こすらんこち、落ついもんか」(もっと、わらぞらで、ごしごしこすらないと、落ちないよ)。

すんくじら  あばてんね あったらし・・・
おもしろい単語
すんくじら:隅っこ。隅。漢字を当ててかくと「住抉」。すみ(隅、住み)+抉る(くじる)。抉るは「穴にものをさしこんで、中の物をえぐりとる『日本語大辞典』とある。長崎方言では「スミクラ」、大阪では「スマクダ」といい語源も諸説ある「そこん すんくじらぃ やっちけ」(そこの隅に置いておけ)。

あばてんね:たくさん。随分。大層。九州各地で使われる「あばかん」「あばきがとれん」と同意である。「あば」は「漁網を浮かすための樽」。「てんね」は「はけない如くの意」でそれほどたくさんという意味(九州方言辞典)。「あばきがとれん」の「あばく」は発(あば)くに一語で収まる。余る。などの意がある。「あばてんね」の「あばてん」は「あばかん」と同じくこの動詞の否定形とみる。アバカン転訛説。アバカンは「容器や空所に物がはいりきらない」「ものごとがさばききれないぐらい多い」という意味。「ぜんをあばてんねひこ もろた」(お金をすごくたくさん貰った)。しごっがアバテンネのこっちょい(しごとがたくさん残っている)。