TOPへ


このきなんのき

紙を通して自然環境や資源の大切さに気づく。
紙はケナフ等の非木材や花木のみつまた等でもつくれることを知る。
みつまたを育て学級の木(気)をつくる。
学習活動1:みつまたの木について調べる。 留意点「みつまた」の正式の
名前はふせておく。
「この一本の木を見つめて何か気がついたことはありませんか?」
子どもたちはいっせいに前の方にかけより、下から見上げたり上からのぞきこんだりして
一本のこの木をふしぎそうに見つめた。やがて「ウワー、どの枝も三つに分かれている」
「葉っぱが上の方にだけついているよ」「わたでつつまれた小さな実がついているよ。」等、
口々に歓声があがった。
学習活動2:「この木はなんの木でしょう」スケッチをしてこの木に名前をつけよう。
子どもたちは木からイメージした名前やクラスに対する思いや願いを木の名前に託して名前をつけた。

みげその木
みは三つのみ
げは元気のげ
そはそだつのそ
まるでかけざんの
三のだんの木
みたいだった。
木にまけな
いように希望
を持って生きようと
願いをこめました。
みんな元気に育ってという願い
をこめてつけました。
さんのだんの木 きぼうの木
そのほか:みわたの木、ほねの木、ピンピン木、ゆうきの木、ネーチャーの木、
元気のでる木、よく食べる木、ブイの木、アンデットの木、ふし木、みつもくれん、
かんきょうの木、なかよしの木、よく笑う木、おもいやりの木等、
実にユニークな発想で夢のある楽しい名前がいっぱいでてきた。
これらの中から三つの木を見つけてクラスの目標の木(気)を作った。
よく食べる木 よく笑う木 よく学び合う木
学習活動3:紙と木について調べる。
木から色々な紙や物
が作られていることを知る。
木は紙の原料だけ
でなく自然環境にとって
も大切な役割のあること
に気づく。
紙は木材だけでなく
ケナフなどの非木材や
みつまた等の花木からも
作れることを知る。
学習活動4:紙と自分たちの生活とのつながりについて調べる。
紙と自分たちの生活について考える。
・紙をむだに使ったりぜいたくに使ったりしていないか。
・使った紙を再利用できないか。再利用する方法は?
・紙を大切にするため自分ができることは何か。
全校で古紙リサイクル活動をしよう。
学習活動5:みつまたを使って、和紙づくりにチャレンジしよう。
みつまたを使った和紙作りに挑戦する。

ミツマタを使った和紙づくりへチャレンジ

1,乾燥(かんそう)させたみつまたの
皮(黒皮)
2,ばけつの水にしたす  注1 3,表皮をすすぎ落としばけつ
から取り出したみつまた皮(白皮)  
4,はさみで2cmぐらいにきりきざむ 5,きざみ終わった皮のせんい 6,重さをはかる(乾燥繊維200g)
7,なべでにる    9,タンサンを入れてにる  注2 9,ざるにあげる
10,漂白剤を入れた水に
一晩ひたす  注3
11,すりつぶしてやわらかくする 12,ミキサーで3分間ほど回す
13,水をはった容器に流し込む 14,木枠を使ってパルプをすくう 15,いそぐ場合はアイロンを使って乾燥

これがみつまたでつくった紙です。できあがった作品は和紙独特の柔らかさとあたたかみのある作品にしあがりました。
注1:水にひたすのはみつまたの皮についている表皮をとるためです。
外皮がついたままのみつまたの皮を「黒皮」とよびます。
外皮を取り除いた内皮を「白皮」とよびます。水温やつける水の状況にも
よりますが水につけておく期間は一週間から10日ほどです。ケナフは一ヶ月以上つけておきますが
みつまたは一ヶ月もつけておくと繊維自体がどろどろにとけてしまいます。表皮が自然にはがれるのを
つける期間の目安にします。急ぐ場合は一晩黒皮を水にひたしてからナイフ等で外皮を取り除きます。
注2:[パルプ化・アルカリで煮る]・水1リットル(乾燥繊維の5倍)にタンサン(重炭酸ナトリウム)50g
(原料に対して25パーセント)をよく加え、よく溶かす。十分浸る程度まで水を入れてにる(全体で2リットルくらい)。
なおタンサン(重炭酸ナトリウム)は食品添加物なので水酸化ナトリウムより自然にやさしく安心。
注3:漂白しなくても和紙独特の風合いを持つ作品ができあがる。より自然にやさしい台所用の塩素系の洗剤を使用。
紙の歴史について図鑑や色々な情報を活用して調べる。
評価の観点:ケナフやみつまたの教材を通して木の役割や紙資源・自然環境の大切さに気づくことが
できたか。紙と木の学習を通してケナフやみつまたを育てる意味を考え環境に対する実践への意欲を
たかめることができたか。
参考資料
ミツマタ ジンチョウゲ科
中国原産の落葉低木で3メートルほどになる。和紙の原料となり現在でも一万円札紙
幣の特用樹として栽培されている。
樹木としては早春、薄黄色のジンチョウゲに似た下向きに咲く花を観賞する。
ミツマタはほとんどの枝が三つ又に分かれて成長することからつけられた名で、
半円形の樹形はジンチョウゲに似る。
追記:紙と木の単元学習後、ウェビング発展して「お金のことを調べよう」ということになった。
硬貨は大蔵省造幣局、札は大蔵省印刷局でつくられていることがわかった。
お札の製造工程をみると確かに「お札の紙はみつまたなどを原料とする」とかいて
ありました。
一万円札の会:みつまた栽培で生きがいをつくり出し町の活性化を目指そうとする
島根県太田市大代町の紹介。みつまたのくわしい紹介もあります。
こうぞ、みつまたを使った江戸・明治の和紙作りが参考になりそうです。