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   テコテンドン     肝付町岸良  
1月2日、肝付町岸良の平田神社に伝わる正月の伝統行事「テコテンドン」に参加した。初登山と岸良中岳の自然探訪を兼ねた今回のテコテンドンへの参加は、テコテンドンの歴史を知る絶好の機会となり、地域の方々や参加者間との交流を深め、新年スタートの思い出を飾るにふさわしい体験となった。テコテンドンは北岳の山神を迎えて五穀豊穣や無病息災を願う行事で地域に密着したかなり古くから岸良地区に伝わる伝統行事だった。初登りとなった北岳への登山は樹林内の植物、シイやカシの照葉樹巨木との出合いや山頂巨岩からの絶景を楽しんだ。
 テコテンドン・北岳登山 テコテンドンとは    岸良北岳自然探訪
 テコテンドン・北岳登山
 テコテンドンは、5時間以上かけて岸良の北岳(747m)を往復し、テコテンドンを平田神社に招いて五穀豊穣・無病息災を祈願する祭だ。北岳への登山は、落ち葉の積もった急斜面の道なき道を踏み分けて約3時間かけて山頂へ辿り着いた。山頂の祠では、さかきを束ねた「ヒモロギ」に山の神を移し「テコテンドン」とし、ふもとの平田神社に運んで奉納された<テコテンドン当日の足跡を辿る。時刻表示は通過、または撮影時刻>
テコテンドン岳(岸良北岳)登山      岸良北岳(747m)
 午前八時過ぎ、境内で簡単な神事をすませ平田神社を出発。神社から一時間ほど歩いて林道と出合い、北岳への登山口から渓流を渡り、尾根伝いの斜面を廻り込むように落ち葉を踏みしめ、途中、道なき道を進みと白い巨岩の第一展望所へ。第一展望所から巨大な亀割石やカシやシイ等の照葉樹の巨木、倒木更新風景との出合いを経て山頂へ。

平田神社(起点)  8:00 
 
出発  8:13  <参加者12名>
 
これが目指す岸良北岳(別名テコテンドン岳)だ  8:27
 
林道を歩く  8:33
 

 渓流渡り   8:40

北岳登山口  9:14
 
北岳案内板  9:44
 
第一展望台     10:17
 出発して二時間、巨大な石畳第一展望台で一休み。ここから眺める岸良の街並みや周りの山々の風景が絶景だった。展望所からさらに一時間ほど歩いて山頂へ。
 
途中、亀割石に出合う    10:36
 
落葉をf踏みしめ、巨木を脇に見ながら進む    11:15
 
山頂近くの照葉樹林帯倒木更新風景    11:29
山頂での祭事と大岩からの眺望
出発して三時間半、目の前に高さ10mはあろうかと思われる北岳山頂の大岩が現れた。大岩の下の小さなくぼみに高さ30cmの小さな祠が鎮座していた。祠の前では供え物をし、 榊を束ねた「ヒモロギ」に御霊を移しテコテンドンの神とする神事が行われた。 餅を焼いて食べて一服してから、北岳山頂の岩登りにチャレンジ。山頂からの岸良の町並みや周りの山々の展望は抜群だった。山頂に立った満足感に浸りながら山頂を後にした。
 
山頂到着(11:33)。テコテンドン岳山頂の巨岩を見上げる
 
山頂巨岩下の隙間に鎮座する北岳神社の小さな祠
 
山頂ほこら前での神事風景
 
 
 榊を束ねた「ヒモロギ」に御霊を移しテコテンドンの神とし、これをふもとの平田神社に運んで奉納する。
 
 祠の前では神事と並行して餅を焼いて食べた。
 
神事が終わると岸良の北岳山頂(747m)への岩登りへチャレンジ。岸良北岳山頂巨岩からの眺めは絶景だった。
   
岩場山頂からの展望。筆舌しがたい絶景の世界が広がっていた。しばし絶景を楽しんだ後、下山。

 下山、神社へ柴を届ける
山頂で神事を済ませるとヒモロギのテコテンドンを携えて平田神社を目指して下山。下山途中、小さなほこらの鎮座する中岳神社に立ち寄り、太鼓を使った神事が行われた。例年だとここからは太鼓のリズムに合わせて「テコテンドン オー ソーライ ソーライホー」と連呼しながら下山するのだそうだが今回は太鼓なしでの下山となった。
 
下山準備 12:59
 
下山途中林道で足を伸ばして一休み 14:21
 
 
  林道を下り再び清流を渡るとアコウの巨木近くの巨岩の隙間に小さな祠が鎮座する中岳神社が。 14:53
 
 
太鼓を鳴らしテコテンドンを休ませるための神事だという。15:06
神社に着くと社殿を左右3回ずつまわってから本殿祭。祭時の最後は社殿内の戸を開け、テコテンドン御帰還。
 
テコテンドン・一行神社到着   15:45

  社殿を左右3回まわる。15:50
 
神殿にヒモロギを祭り、本殿祭が行われる。16:00
 
最後に北岳方向の窓を開け テコテンドン御帰還 16:17

 テコテンドンとは
テコデン祭は正月2日、国見山系の岸良北岳のテコテンドンという神を迎えて地元の平田神社で祭る行事である。km以上あるけわしい道を踏み分け、北岳山頂巨岩下に祀ってある北岳神社まで登り、供え物をし、サカキの枝をとって束ね、人形を作り、赤木綿の衣を着せて御霊移しの神事が行われる。このサカキのヒモロギを持って神官の先導で下山。帰路途中の中嶽神社に立ち寄り御霊を休ませた後、麓の平田神社で本祭が行われる。もともとは神官と青年、12歳以上の子どもたちが参加していたというが近年の少子化化で子どもが少なくなり、昨年、今年と子どもの参加はなかった。下山後の神事もかつては、神社で宮司の出迎えを受けたあと集落内の向原家で祭を行い、直会(なおらい)が行われ、この時、太鼓持ちの怜人が最初に歌を歌うが、これが「歌の口開け(ウタンクッアケ)」、「太鼓の口開け(テコンクッアケ)」だ。直会のあとクゲワタシの行事があり、向原家から平田神社に御神幸が行われ、神舞が舞われ、その日の午後10時、祭を終えたという。
 
 太鼓の音や太鼓の口開けが呼称の由来とされるテコテンドン
  岸良北岳(テコテンドン岳)の自然
 肝付町岸良の温暖な気候の岸良は、熱帯、亜熱帯性の植物が多く、近くの船間にはヘゴの自生北限地帯(国天然記念物に指定)がある。北岳山麓は温暖な気候を利用したポンカン作りが盛んで登山道入り口や渓流沿いで岩盤上や樹上に着生するオオタニワタリが見られた。北岳の低地の林層は大隅半島特有のマタバシイやタブ、スダジイ等群落が発達していた。上部になるにつてタブノキ、スダジイなどの巨木に加えユスやアカガシ等の照葉樹、山頂近くではモミ、ヒメシャラなど、ミヤマシキミ等が見られた。登山道にはこの時期にはめずらしいヤッコソウやツチトリモチの植物が見られた。
 岸良北岳で見られる樹林内の林層・植物
   
北岳麓ではバナナなどの熱帯性植物が見られた。
   
北岳登山道入り口や渓流沿いで岩盤上や樹上に着生するオオタニワタリが見られた。 
 
 
シダやアコウの群落が見られる低地の樹林内林層  
 
 
五合目付近のシイやタブの照葉樹林層
   
山頂近くではユスやアカガシ、タブなどの照葉樹巨木が見られた。
 
山頂一帯ではツガの木が見られた。山頂の巨木に寄り添うように生えるツガの木
 登山道で出合った希少植物
   
登山道脇で出合った開花時期の過ぎたヤッコソウ群落
   
オオスミツチトリモチ<日本固有種で、九州南部に分布。花穂は円形で、橙色。鹿児島県では準絶滅危惧種>
 登山道の草花
 
 
  山頂付近で出合ったミヤマシキミ
 
ムラサキシキブ

 マンリョウ

 山頂トライ追記
 岸良北岳麓にはテコテン桜という山桜の名木がある。昨年の花見で目の前にそびえるテコテン桜の由来になっているテコテン岳(北岳)に登る決意をしていた。これが今回のテコテンドン参加の動機のひとつでもある。この日は穏やかな天候でテコトン岳に登るには絶好の気象条件だった。林道登山口へ入る清流を渡るとき、足をすべらせ登山靴がずぶぬれになるハプニングが。それでもなんとか支障なく登山続行して三時間ほどで無事山頂へ到着。山頂で神事後の岩登りへチャレンジ。岩のぼりはかなりの体力と度胸が必要という事前情報通り、まさにロッククライミングだった。
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