子どもたちに自然体験を           
NPO大隅照葉樹原生林の会が主催する「森と語ろう、森林教室2014」が8月27日、下高隈町のふれあいの森で開催されました。森の散策と樹木観察、森林ネイチャーゲーム、森のお話会、森林音楽会等、多彩な活動プログラムの森林教室は県森林環境税を使って実施され、今回は前年に続き二回目の開催となりました。参加した児童は市内中央地域にある学童施設の子ども達小学校3年生から6年生の30名です。活動場所は鹿屋市下高隈町にある「ふれあいの森」。ここは、低地ながら南日本特有のカシ、シイ、クス、タブなどの照葉樹林が原生林に近い形で残っていて樹林内には約80種の樹木が見られ、学習の森として貴重で最適な場所です。特記すべきは樹林内に林野庁が指定した「森の巨人達100選」に選ばれた樹齢250年ほどのスダジイ巨木が存在することです。森林教室のガイドは大隅森林管理署3名、NPO森人クラブ代表1名、内部講師7名が担当しました。 
 活動内容と活動風景
 森林・樹木散策  森の巨人たち100選 ネイチャーゲーム    森のお話会・音楽会
 森林散策・樹木観察
 森林散策・樹木観察 森林管理署員・会員ガイドの案内で樹林内の登山道散策路にたっぷり積もった落ち葉を踏みしめ、緑のダム、森の働き等ガイドの話しを聞きながらゆっくり歩きました。樹林内の登山道脇にはタブやかし、シイの巨木が林立し、それぞれ樹木名プレートが付けられ、カゴノキ、ショウベンノキ、バクチノキなどおもしろい木の名前を見付けると名前の由来などを質問していました。途中、静寂な森の中で聞こえる野鳥のさえずりやセミの鳴き声、聴診器を使って樹液の上がる音など自然の音に耳をかたむけながら樹林内を散策しました。
 森林散策
「森を知る」
 
森の役割や「みどりのダム」の話に聞き入る子どもたち
樹木散策
「木を知る」 
 
カゴノキ、ショウベンノキ、バクチノキなどおもしろい木の名前に興味を示す子どもたち
 森の巨人たち百選  ふれあいの森ハイライト「森の巨人たち百選のスダジイ」
 ふれあいの森には、幹周り609cm、樹高22m、推定樹齢250年の林野庁が選定した「森の巨人たち百選」ののスダジイ巨木があります。根株の中心部は空洞になっており、子どもたちはおそるおそる空洞の中に入って、自然の偉大さや不思議さを体感し、森の探検気分を味わっていました。
森の巨木たち
「木から学ぶ」 
 
「森の巨人たち百選」のスダジイと子どもたち
木と触れる
 
根株の空洞は子どもたちにとっておもしろい探検スペースだ。

自然と友だちになろう
 「ネイチャーゲーム」
ネイチャーゲームで森の自然を体感 
 現代の外遊びを忘れた(失った)子どもたちにとって山は遊びを取り戻し、自然を体験する絶好の場所です。森林内で五感を使って自然を体感するネイチャーゲームのひとつ、フイールドビンゴは森の中で①見付ける②においをかぐ③音をきく④さわるをキーワードにして五感を使い、自然の宝ものをさがすビンゴゲームです。ゲームを通してこれからもっと森を知り、自然を直接体験するきっかになるにちがいありません。山中の決められた枠内に人工物を置き、自然物と見分けるカモフラージュゲームは大人も楽しめました。左手は友だちの肩に置き、右手はロープをつかんで目かくしをして歩く林内目隠し歩きのゲームは友だちと協力することの大切さも学んだようです。
ネイチャービンゴ
「森の自然を体感する」
 
 
森の自然を体感するネイチャーゲーム
ネイチャーゲーム
<目かくし歩き>
「森の自然を体感する」
 
 
目かくし歩きネイチャーゲーム

    森で「楽しいお話会」・森で歌おう「森林音楽会」
  活動後半は湧水池前のベンチでクールダウンを兼ねた楽しいお話会と森林音楽会がありました。紙芝居を使った森林の話は、森林の役割や自然を守ることの大切さをわかりやすく教えてくれました。もうひとつ、楽しいお話ではトンボにくわしい会員ガイドが実際のトンボや写真を見せたりしながら話をし、トンボの種類や生態等について学びました。
 森林教室プログラム最後の「森で歌おう、森林音楽会」。はじめに森のきれいな空気をいっぱい吸ってはき出す複式呼吸健康体操を行いました。自然や森の動物たちをテーマにした曲、「森のくまさん」「散歩」「赤とんぼ」などを中心に、最後は「花は咲く」をみんなで楽しく元気に歌いました。森のきれいな空気をいっぱい吸い、歌い、身も心もすっかりリラグゼーションし、すがすがしい気持ちで森林教室を終了しました。 
 森で楽しいお話会
 
森でお話会・紙芝居
森で歌おう・森林音楽会」 
「心とからだのリラグレーション」
 
森で歌おう、森林音楽会


 
 備考
 ※「森の巨人たち百選」:「森の巨人たち百選」は、2000年に林野庁が次世代への財産として残すべき「国民の森林」を選び、保護活動を進める事業の一環として、日本全国の国有林の中から直径1m以上の樹木や地域のシンボルになっている樹木を候補として、そのなかから百本を選定したものである。。鹿児島県内にはふれあいの森のスダジイの他に屋久島町の「縄文杉」「弥生杉」「紀元杉」、伊佐市の「エドヒガンザクラ」、「三州谷の大ケヤキ」、出水市の「紫尾山のアカガシ」が選定されている。