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末吉・住吉神社流鏑馬曽於市末吉町

末吉町住吉神社の流鏑馬が、五穀豊穣や無病息災を祈願して奉納され、町内外から多数の見物人でにぎわった。県内で伝承されている流鏑馬は、ここ末吉の他に肝付町の四十九所神社,日置市吹上町の大汝牟遅(おおなむち)神社があり、いずれも県の無形民俗文化財(注1)に指定されている。住吉神社の流鏑馬は、三ヶ所用意された的に鳥居の方から神社方向に馬を走らせて、疾走する馬上から的をめがけて矢を射る古式豊かな伝統行事だ。騎手の装束は鎌倉時代の巻狩のいでたちで、的に当たった数で翌年の豊作を占う意味もある。当り的で家を葺けばその家は栄えるという。いつごろから行われたのかは不明だが三国名勝図会(2)にも記載があることから江戸時代後期にはすでに行われていたとされる。疾走する馬上から豪快に次々と矢を射抜く3人の射手に対して参道の観衆から盛大な拍手と大歓声が上がった。
末吉神社の流鏑馬は、住吉山中腹の静かな自然に囲まれた場所で行われ、勇壮な中に質素で素朴な風情があった。2010年11月23日      最終探訪日 2016,11,23

末吉町住吉神社流鏑馬 2010年11月23日

住吉神社流鏑馬前儀
午後1時、神事の前儀が開始、本儀は2時からスタート。神事が終わると鳥居から神社に伸びる約二百数十メートルの参道を歩き清め、騎手は馬上にまたがり、場ならしと馬ならしのための試走をする。
神事も無事終了、いよいよ本儀開始。
薄化粧し、色鮮やかな仮装束とあやい笠の出で立ちで本番前の馬ならしと場ならしの試走が始まる。会場の雰囲気が一気に盛り上がり、いよいよ本番をむかえる。

流鏑馬風景
本番スタート
疾走する馬上から、的をめがけて矢が放たれる度に見物人から大喝采と拍手が上がる。射手3名
三ヶ所に設置された的を一人で3回射り、当たり数で豊作や運勢を占う。

白旗合図でスタート準備OK 見物人も騎手も一番緊張する瞬間だ。

人馬一体、疾走する馬上で弓を構え、的をめがけ豪快に矢を放つ。

「ピシッ」、的板をつき割るかわいた音が響きわたり、観衆から拍手と歓声が上がる。
初舞台の杉本君(小5)も堂々とした弓さばきで的に命中

こちらも豪快に放たれた矢は見事、的に命中
当り的と矢は縁起物として会場で即売される。的板で家を葺くと家が栄えるという。
最後の儀は旗あげで締めくくり
いつもは静寂な住吉神社一帯だが露店もたち、祭り一色。この日はたいへんなにぎわいで、笑いと歓声に包まれていた。勤労感謝のこの日、晩秋の一日をのんびりと楽しんでいるたくさんの見物人の姿がそこにあった。ちなみに今年の矢の当たり数は27本中17本、当たり数が多いほど翌年は豊作とされる。さて、来年はどんな年になることでしょう。

住吉神社の大杉と流鏑馬
神社境内に樹齢約800年の大杉がそびえ立ち神木の前で流鏑馬神事が執り行なわれる。地元末吉町では神木、大木、古木、銘木として大切に育てられ、崇められている。
樹齢約800年、目通し幹周6.2m、 樹高45mの住吉神社の大杉

住吉神社の大杉と流鏑馬神事風景

 住吉神社流鏑馬2016
住吉神社流鏑馬は、境内や参道に台風の爪痕が残る中での開催であったが好天にも恵まれ町内外のたくさんの人出で賑わった。 神事の後、午後2時花火の合図とともにスタートし、的に矢があたる度に大きな歓声が起こり、あたたかい拍手がおくられた。流鏑馬終了後に行われる恒例の油竹登りもゆっくり見学し、最後まで流鏑馬を楽しんだ。 2016/11/23
 住吉神社流鏑馬2016
   
 
 油竹のぼり
 
油をしみこませた竹に登る恒例行事の「油竹登り」
 馬とのふれあい体験
 
流鏑馬が終わり馬と一緒に写真を撮ったり馬とのふれあい風景
 台風被害の爪痕が残る参道脇、境内の被害巨木
神社境内の巨木2本が台風の被害に遭い、折れた枝が拝殿を直撃し、拝殿の屋根や石灯籠などが被害にあい台風の爪痕が残っていた。流鏑馬開催に間にあうよう関係者の力で補修に全力を注ぎ、流鏑馬開催にこぎつけたという。
   
被害にあった参道脇の社や石灯籠 
 
樹上が台風被害にあった樹齢約800年の住吉神社の大杉
   
台風被害にあった境内の二本の巨木


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(注1)昭和56年3月27日に県の無形民俗文化財に登録
(注2)三国名勝図会(さんごくめいしょうずえ)は、江戸時代後期に薩摩藩が編纂した薩摩国大隅国、及び日向国の一部を含む領内の地誌や名所を記した文書

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