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佐多旧薬園南大隅町佐多

佐多旧薬園(きゅうやくえん)は旧島津藩の薬園跡で、この園内にはリュウガン、レイシ、オオバゴムノキ、アカテツ、ガジュマル等、当時としては珍しい植物や薬草が栽培された場所で国指定の史跡となっている。「三国名勝図会」によると、「・・・此楽園日本の諸国になき草本も、能成長する処なれば、真に奇宝の楽園と云うべし、此楽園創めて開かれたる年月詳ならず、或いは宝暦、明和の頃国老菱刈実栓建議して創建せりという」とあるように資料でも正確な創建時期は明らかでない。
この地は一名「竜眼山」、山があるのではなく佐多町の伊座敷集落にある平地である。古文書によると1687年(貞享4)2月8日、新納又右衛門が中国原産の常緑樹龍眼(リュウガン)苗を得て、藩主に献上したものを平田清右衛門という人が取り次いでここに植えたことに端を発しているといわれている。その後琉球経由で輸入した南方の植物を中心に植えられ、園内にはリュウガンの他にレイシ、アカテツ、オオバゴムノキなどの多くの熱帯植物が植えられた。これらは本草学に造詣の深かった島津氏第25代当主(薩摩藩の第8代藩主)島津重豪(しまづ しげひで)が薬園の経営につとめたという。薩摩藩には、ここ以外にも、最も古い「山川薬園」、鹿児島城に近い「吉野薬園」があり、これらの3か所の薬園を「三薬園」と呼び、藩財政に貢献したが廃藩置県の時に廃止された。「山川薬園」、「吉野薬園」は当時の面影も無く、植えてあった植物も無くなっているが、佐多薬園は30アールの土地に藩政当時の植物が植わっており、貴重な場所として昭和7年(1932年)10月9日に国の史跡となった。
最終更新日 2011年2月26日

国指定の史跡「佐多旧薬園」


たわわに実をつけた園内のリュウガン 2009年10月10日

園内には南方系のリュウガン、レイシ、アカテツ、オオバゴムノキ、ガジュマル等、めずらしい植物が所狭しと今も生い茂っている。

園内のアカテツと記念石碑

オオバゴムノキ
オオバゴムノキクワ科 イチジク属  オーストラリア原産の常緑高木。オーストラリアゴムノキとも言う。分布 オーストラリア原産

南国の風情を醸しだしている園内のガジュマル

リュウガン(竜眼、龍眼)
リュウガン(竜眼、龍眼)は、ムクロジ科ムクロジ属の常緑樹。東南アジアから中国南部が原産で樹木は5m〜10mほどに生長する。2cmほどの丸く茶褐色の果実をブドウの房のように一度に多く実らせる。果肉仮種皮)はブドウに似た白く果汁の多いゼリー状で、中央に中に大きな種子がある。この種を竜の目に例えて竜眼の名が付けられた。果実は生食だけでなく生薬、乾燥したものも広く利用される。

リュウガンの果実(佐多旧薬園) 2009年10月10日

リュウガン

レイシ
リュウガンはレイシと同じムクロジ科。レイシと比べると果実は小さく、着果数は多い。果実が小さい割には種子が大きく、果肉はレイシ同様、濁白色で果汁が多い。

南隅史跡巡りと町歩きツアー 2011/2/26

園内史跡巡り風景

園内樹木案内図


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